はじめに
BLOG OF RUDE THEATERへようこそ。RUDE THEATERのギタリスト、HIROTOです。
今皆さまはどんなギターを使っていますか?昔から長らく愛用しているギター、自分の好きなアーティストモデルのギター、好きなブランドの新作ギターなどそれぞれの思い入れと共に大事にしているギターがあると思います。また、次はこれがほしいなあれがほしいなと想像をしていることと思います。そんな中で、もっとこんな音が出たらよいな、こんなカラーリングがあったらよいな、こんな仕様のギターないかなと思ったことはありませんか?今回はそんな皆さまにオーダーメイドという「世界にひとつのギター」を手に入れるという選択肢を紹介したいと思います。
オーダーメイドのギターとは
ギターのオーダーメイドには大きく分けて2つの種類があります。ネーミングは各メーカーで異なることがありますが、基本的には以下の通りです。
セミオーダー
ギターに使用している木材、パーツ類、カラーリングなどを既製品をはじめとして各メーカーが標準で用意した仕様から変更をする方法です。標準仕様が存在するため、ある程度の使用感などを事前に確認することが出来ることはメリットとしてあげられます。また、標準仕様にアップチャージをしていく形になるためにある程度コストも押さえることができます。
フルオーダー
設計から全てを行う方法です。オリジナルシェイプのボディや特殊な加工や塗装など自由度を高く仕様を決めることができます。設計からと言う点で楽器として成立させることや狙ったサウンドを実現させるために時間や費用と言ったコストはかかりますが、より納得の行くものが出来上がる可能性は高くなります。
どんな人におすすめ?
オーダーメイドのギターをお持ちの方のギター歴や既に所有している本数などは様々です。実際にはじめて購入したギターがオーダーメイドの方もいらっしゃいますし、ギター歴が長くともオーダーメイドを必要としていない方もいらっしゃいます。
個人的な見解としては、既製品に少なからずもっとこうだったらいいのになと思うところがある方はもちろん、漠然と新しいギターがほしいと思う方にもオーダーメイドの選択肢はおすすめだと考えています。より愛着が沸くということも言えますが、オーダーメイドの仕様を決める過程から“どんなギターを作りたいか”と考えながら打ち合わせする機会を得ることで、今までとは違う視点からも自分自身の演奏やサウンドにより向き合うことができると考えています。
ESPカスタムメイドギターを選んだ理由
前述したように、オーダーメイドのギターを作ることが出来るメーカーはいくつかあります。今回僕がその中でおすすめするのはESPのカスタムメイドギターです。僕自身がいくつものメーカーでオーダーメイドを行ったことがあるわけではありませんが、ESPでオーダーメイドをしてよかったと感じる体験をもとにおすすめポイントをいくつかピックアップしたいと思います。
丁寧な打ち合わせ
用意されたオーダーシートをもとに楽器の仕様を決めていく流れですが、単純にこちらの希望通りにシートの空欄を埋めていくのではなく、作ろうとしているギターのコンセプトやサウンドの方向性を確認しながら打ち合わせをしてくれます。狙っているサウンドとしてはこんな仕様もありだよと惜しまずアドバイスをくれ、似た仕様の既製品なども何度もさわって確認させてくれました。
木材などの知識がなくても良い
オーダーメイドを行う上で、木材をはじめとしたパーツの知識は余程勉強を重ねていない限り不足していると感じると思います。知識不足の状態でもできるのだろうかと思う点がオーダーメイドに踏み切れない部分ではないでしょうか。しかし、ESPとの打ち合わせで感じたことは知識がなくても問題はないと言うことです。前述したように丁寧な打ち合わせを行ってくれることにより、必要な知識は惜しまず教えてくれます。 自分の思い描くイメージを伝えることさえできれば、問題なくオーダーメイドを進行させていくことができます。
奇抜な発想や細かいこだわりへの対応
こんなことできないかな?でもそんなギターみたことないよな。その部分がオーダーメイドだからこそ叶うかもしれない部分です。今まで制作してきたオーダーメイドの事例をうかがった際には、既製品では見たことがないような仕様や手間がかかりそうな細かなこだわりを実現していました。セオリーから外れているかもしれないけど、自分の描いた理想を話してみようと思わせてくれるような安心感があります。
ESP既製品の特徴
そもそもESPの既製品は、他メーカーと比べて特徴的な外観やサウンドのモデルが多い印象を受けます。汎用的な仕様で万人にウケるモデルというよりは、より攻めた仕様でそれを必要としている人にウケるモデルを制作することを目指しているように感じます。よりオーダーメイドに適した考え方をもつメーカーであると考えます。
店舗スタッフとの繋がり
オーダーメイドの打ち合わせを重ねていく過程で、スタッフの方々とも自分のサウンド志向や使用している他の機材などの話をすることも自然と増えます。オーダーメイドギター制作後もサウンドメイクや機材の入れ替えなどの相談にも乗ってくれることも多く、経験豊富なスタッフの方々からアドバイスをもらえる関係性となれたことは今現在でもとても助かっており、嬉しく思います。
以上にあげたポイントはもちろん他メーカーでも同様に対応していただける可能性が高いと思います。しかし、僕自身としてESPと打ち合わせを開始したときに必要十分と満足をしたことから制作していただく運びとなりました。あえて上記にはあげませんでしたが、完成したギターはサウンドも弾きやすさもハイエンドギターらしく高品質であり、自分の実現したいポイントは全て叶ったとても満足のいくものとなりました。
オーダーメイド行う上での注意点
個人的な見解ですが、オーダーメイドを行う上で気を付けたほうが良いと思うことをいくつかあげます。
木材などではなく自分の求めるサウンドに向き合う
前述した通り、木材などの専門的な部分はスタッフの方々が十分に理解しています。もちろん木目やカラーなど外観上の好みの仕様は伝えるべきです。しかし、オーダーメイドギターにサウンドの部分を求めるのであれば、断片的に学んだ木材知識よりも実際にどういうサウンドを実現したいのかを考えておくのが良いです。憧れのアーティストの楽曲からでも良いですし、自分の最新楽曲でも良いと思います。自分がどのような音楽をやっていて、今後どんなサウンドを出したいのか、これを見つけてお伝えしていくことをおすすめします。きっとそれに必要な木材をはじめとしたパーツを提案してくれます。
時間がかかることに納得する
仕様決め、設計、木工加工、塗装などと工程がありますが、基本的に完成まで時間がかかると思っておいたほうが良いです。打ち合わせ開始から完成まで1年以上かかることもあります。じっくりと打ち合わせが行われること、加工も1本ずつ丁寧に行われていることを理解しながら、その長くかかる時間も楽しめるメンタルでいられると良いと思います。オーダーメイドギターが完成したタイミングでその他の機材システムもアップデートできるように研究を進めるのも良いかもしれません。
長いローンは組まないほうがお得
当然と言えば当然のことですが、長いローンを組むと金利がかかります。手持ちが少なかったり、家計のやりくりが厳しい時などは確かにローンを組むことで即契約することができます。しかし、ローン期間が長いと金利に無駄なお金を使うことになりますので、トータルでは出費がかさみます。家や車ほどの金額ではありませんので、事前にそのつもりで貯蓄しておくことも可能な範疇だと思います。また、店舗によっては現金購入する際にポイントがつくキャンペーンを実施しているところもありますので、現金一括で支払いをするとすこし高価なエフェクターが買えちゃうくらいのポイントが付加されるなどお得なこともあります。
ESPカスタムメイドギターの紹介
実際に制作を行っていただいたギター2本の仕様を紹介します。
GARNET
外観は既製品のVIPERをベースとして、スカルのデザインされた黒いギター。サウンドはリフを弾くのに必要な重さとスピード感の両立をコンセプトとしました。
サウンドコンセプトから、硬さと重量感を必要としたため、ボディにはホンジュラスマホガニー、指板にはエボニーを使用し、ピックアップにはEMG85(フロント)、81(リア)を9V×2(直列)で採用しています。黒いギターであることが外観上のコンセプトであったことからパーツ類も黒を選択し、既製品のVIPERで当時採用されていたネックやヘッドのバインディングを廃止しています。指板のエボニー材も限りなく黒が良く出ているものを使わせてもらい、フレットのインレイも廃止しています。
ボディシェイプはほぼVIPERですが、実際にはオリジナルシェイプとなっています。僕の主観ではありますが、通常のVIPERの形状は立てて飾ったときが一番美しく、実際に演奏するときに持つと少し美しさが減ると感じてました。演奏時により美しく見えるようにリシェイプ提案をいただき、微妙にVIPERとは異なるシェイプとなっています。ボディに大きく描かれているスカルはこちらで用意した画像を塗装工程で手書きで再現してくれました。ネックスケールは666mm、裏通しでダウンチューニングの際にもテンションを稼げるようにしてあります。
ボリュームノブの位置も演奏中に操作がしやすい距離を打ち合わせしながら決めています。
前述したように従来のバインディングは廃止していますが、外観上ヘッドの輪郭に当たる部分に多少のアクセントがほしくなりました。ボディ及びヘッドは艶あり仕様でしたので、ヘッドの外径から数ミリだけ艶消しとし、軽微ながらアクセントとしています。
塗装は基本的に艶あり仕様ですが、ネック裏は触り心地から艶消し仕様としています。インレタで文字も入れています。ネック形状も既製品のギターを触らせてもらいながら選ばしてもらいました。GARNETではUtoV形状を採用しています。
BLACK-LEOPARD-7Strings
使用感としてはGARNETを継承、外観は自分で絵を描いたオリジナルシェイプと温度感のある黒、サウンドは生き物感と7弦ギターでも低音がルーズになりすぎないというところをコンセプトとしました。
GARNETより倍音がほしいという観点からピックアップはSeymour DuncanのSENTIENT(フロント)、SH-5(リア)とパッシブピックアップを採用しています(外観はアクティブマウントモデル)。既製品の7弦ギターではネックの太さとボディサイズがアンバランスと感じていたため、ボディサイズは大きめになっています。しかし、その影響で低音がよりルーズになる懸念があったため、ボディトップに硬いブビンガを貼ることで解消しています。
ボディシェイプは僕が絵に描いたものをもとにデータ作成をしてもらいました。GARNETで採用していたベベルドカットに加えてアーチトップ加工を行っています。カラーリングは温度感がある黒(ほぼ紫に見えますが)というところでこちらで作成したカラーサンプルを再現してもらいました。モデル名の黒豹の様に良く見ると柄があるという雰囲気で、ほんの少しシースルーとなっており、良く見ると木目が見えてきます。
ネックスケールやボリュームノブの位置などはGARNETの使用感を継承しておりますが、僕の7弦ギターの握り方にあわせてネック形状のみGARNETとは異なりThinU形状を採用しています。
通常のマグネットピックアップに加え、ブリッジにピエゾピックアップを搭載し、2out仕様となっています。
ネック裏のインレタも良く見ると見えるようにあえて黒を選びました。
おわりに
紹介した2本のギターではものすごく変わったことを行っているわけではありませんが、細かなところでもこんな要望も叶うんだと参考になれば幸いです。ESPに限らずだと思いますが、オーダーメイドの体験は全ての過程を通じて、その後のギターライフを豊かにすると考えています。思い描いているアイディアを話してみましょう。きっとそれが実現すると思います。
それではまた次回お会いしましょう。HIROTOでした。
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